吉原手引草

吉原手引草

吉原手引草

なんの怖いことがありんしょう。刃に突かれて死ねば、この世の苦患(くげん)を首尾よう逃れ、あの世で蓮(はちす)の花と咲きんしょう。さればいっそここで、おまはんの手にかかりとうおざんすわいなあ(花魁葛城(かつらぎ))


前にもSAYURIのレビューを書いたけど、
好きなんです。芸者とか花魁とかが。
(一緒にしたら怒る人もいるのかな、でも花魁は色を売るから芸者より格下だ!っていう人の方が私はやだな。)
ついでに言ったら銀座の一流ホステスとか、ヨコハマメリーさんもそう。
好きって、なりたいんではなくてむしろ絶対自分がなれないからすごく憧れるのです。
売れて大名に引き取られる売れっ妓もいれば、食い扶持も稼げず自殺する妓もいる。
でも、ほんの一晩の泡沫の夢を作り出すことに命を賭ける生き方が、覚悟を決めた生き方が(本人は意図してようがしてまいが)、ただただ凄まじくて憧れる。
好きとかかっこいいとかいう言葉が憚られるような生き方が。


日経新聞の書評で珍しく★★★★★が付いて話題になってるらしい、この本。
私は偶然本屋で平積みされてたのを手に取ったのだけど、思ったよりずっとずっと面白かった。
上等なミステリーであり、丁寧な吉原の記録書でもある。
歴史に残る名娼まで登場して、まるでノンフィクションのスリルがあるし(途中まで私は実在の事件かと思ってた・・・)、吉原のさまざまな人間の独白で進められてくので、まるでその夢の世界に迷い込んだみたい。思わず一晩で読んじゃいました。
そして吉原の表舞台も裏舞台もしっかり書かれているので、すっかり自分が吉原通の気分!
オススメです☆★